2010年6月27日日曜日

『バングラデシュの衣料工場で働く女工たち』

 
garment girls of bangladesh(公式HP)

映画を観てきた。『バングラデシュの衣料工場で働く女工たち』。
このドキュメンタリー映画を撮ったのは、バングラデシュを代表する監督だそうだ。

日本で繊維産業が隆盛した時代と同じような現象が、今バングラデシュで起こっている。
「繊維産業で勃興した後、バングラデシュはIT産業に移行し、次に繊維産業はアフリカへと移っていく」…と、今後およそ十年をそのように予測をしている、ミシン会社の人が、今日の上映会の会場にいた。
その話どおりなら、あの常に飢えた死にかけの子供の紛争大陸にも、やがて光がさそうとしている。
まぁ、それはあくまで十年先の話だろうが。

さて。
映画を観ると、バングラデシュの状況は悪いことばかりではもちろんない。
バングラデシュでは、男性に比べて、女性の選べる職種の幅が少ないらしい。それでも女の子たちも、農村でただ貧しいだけの暮らしより、都会に出て自分の手で稼ぎたい。バングラデシュの縫製工場は、そんな女の子たちの夢を叶えた。

とはいえ、労働力は安く買い叩かれ、足下をみられるのである。
「海外のバイヤーを喜ばせるためではなく、この産業の発展を考えるべきだ」といった言葉で、この映画は締めくくられていた(と思う)。

あそこで生産しているZARAやH&MやGAPも、それなりにあこぎな商売をしているように私には見える。ユニクロのファーストリテーリングもバングラデシュに参入したらしいが、どうするつもりなのだろうか。

先進国のそれらのブランドの商品を買い求める消費者が啓蒙されておらず、意識が低いことも問題だ、という声が、上映後のディスカッションの時に聞かれた。
そうすると、アパレル業界でマーケット・インの発想がもてはやされるのも、奇妙で由々しき問題ではないか。
商品を供給する側も、消費者に手の内をすべて見せていただきたいものだ、と私は感じていた。


この上映会は、フェアトレードの通販もやっているNGO団体が催していたのだが、上映後のディスカッションの時に、私は思い切って言ってみた。

「繊維産業の勃興とフェアトレードの推進で、貧しかったバングラデシュが豊かになろうとしています。よかったよかった。というノリでは、フェアトレードは胡散臭いまま。日本で服作ろうとしている人もいるんだから、日本の製品もフェアトレードしたってくれ!」(

と問題提起すると、割と場の反応がよかった。
「フェアトレード」ですら必ずしもフェアではない現実と、「フェアトレード」という言葉が手垢にまみれた感もあるせいか、新たに近頃は「コミュニティートレード」が興りつつある兆しだそうな。
今日はそんな情報にも出会えた。
 

2 件のコメント:

  1. 通りすがりです。

    中国から衣料品製造の現場がシフトしてきたことで、求人が急激に増えたために、
    現地ではなかなか人が集まらないという状況が起きています。

    売り手市場ではありますが、未経験者を多く雇うことで品質の
    維持が難しくなり、うまくマネジメントできない企業がつぶれています。

    ここ数年で急激に資本が流入してきたバングラデシュですが、
    インフラの整備がまだ整わないため電力や輸送手段に費用がかかり、
    日本のバイヤーからは思ったより安くない(人件費以外にコストがかかる)
    といわれています。

    値段が安いだけなら、トータルコストで安く付く国にまた移ってしまうわけで、
    バングラデシュの産業として根付かせるためには、時間が
    かかっても
    品質の教育や企業が安定した雇用を出来るようにしてゆく
    べきで、
    かならずしもフェアトレードが良いというわけではなく、
    ある程度まとまった雇用を生み出す企業の価値もあります。

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  2. 考えさせられる貴重なお話を、タイムリーにありがとうございます。

    お話どおりなら、私もバングラデシュに行けば仕事にありつけるかもしれません。(

    > インフラの整備がまだ整わないため電力や輸送手段に費用がかかり、
    > 日本のバイヤーからは思ったより安くない(人件費以外にコストがかかる)

    だとすると、日本国内で生産してもバングラデシュに勝てる可能性がないではないと、少し希望が持てるような気がしました。

    それと、

    > ある程度まとまった雇用を生み出す企業の価値

    とはいえ、「まとまった雇用」の質がハリボテでは、企業の価値自体を問いたくもなるということです。

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