2010年11月5日金曜日

主に領土問題について

 
昼休み、ベンチでヤマダさんとまったりしていた。

「チンピラに寝取られて略奪された、打ち出の小槌持った嫁さんのことを、ずっと忘れて過ごしてきた男がいて、ま、嫁さんのことを忘れたくても忘れられないと、一応心の片隅に疵を残していたのはわかるけれど、随分経った今、いきなりチンピラが、昔寝取った嫁さんを見せびらかしにきたとしよう。嫁さんとしても、長い時間をチンピラと共有せざるを得なかったために、チンピラの方に情が移っているし、略奪された自分を取り返そうともしなかった、弱弱しいかつての夫に、今更復縁を迫られても、戸惑うばかりだろう。男が再び嫁さんを奪いもどしたとして、嫁さんの心は戻ってくるのだろうか。所詮、チンピラとはいえ、自分に優しくしてくれる人に、女としては信頼を抱くものではないか。…」

「釣った魚に餌やらん男はな。女も逃げよるで」

「そもそも男同士が勝手に奪い合いをしているだけで、別に女自身は、ちやほやされんことには話にならんようで、しかしそんな打算以前に、幸せに暮らせたらそれでいいから、実際は何とも思っていない。勝手な名前をつけられて、呼びたいように呼ばれるわけよ」

「そうだ、そうだ」

「んでまた、寝取られた元嫁とは別に、ヘソクリ隠した今の嫁さんをいやらしい目で見てちょっかいかけてくる、別のチンピラが、目の前で嫁さんに痴漢しているのに、この男は気持ちを不恰好にしか表に出すことしかできず、誰にも何も伝えられない。思い起こせばこの男の方も後ろめたいことに、目の前のこのチンピラの嫁さんを、ずっといやらしい目で見てちょっかいを出し続けていた。今更やっぱりこのチンピラの嫁に手を出したのは危なかったと、今は別の女に手をかけつつ、でももう、どこにも処女はおらんわけよ。でも、みんな痴漢してるから、オレもオレも、ゆて、触ってるモンの正体も知らずに見よう見真似で触りに行くわけよ」

「あとでワシとこの女に手ぇ出した。慰謝料払え、てことにもなるわな」

「その割りに、大した金持ってない、みたいな。でもモテたいし、カッコだけつけたいから、打ち出の小槌もヘソクリも無い貧乏な女にちょっかいかけて、身包み剥がされるわけよ」

「なんか、自分のケツもよう拭かん、卑しいオッさんやな」



ヤマダさんと私は、主にグローバル化する経済と領土問題について語り合っていたと思う。
 

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