2010年11月27日土曜日

『不撓不屈』と『選挙』

 
実話を映画にする、という点で対照的な映画を二つまとめて観た。

一つ目は高杉良原作の『不撓不屈』。
主役を演じるのが加藤剛だと、主役は義人だろうという先入観で観てしまう。
優秀な税理士が国家に貶められ、それでも己の正義を信じ貫き最後に勝つ、という実話を基にしてして書かれた作品。
登場人物はみな実名らしいが、「巨悪に対して不撓不屈を貫こうとする、ある男の生き様の寓話」ぐらいに受け止めておくのがいいのだろう。

というのが、映画を観た後で物語となった「飯塚事件」を検索して、税理士が書いたこの映画の評を読んで、そちらの方にも「なるほど」と思ってしまったのだ。

吉田敏幸先生は、飯塚氏にとって、事件はいつ終ったのかはわからないが、「私達のとらえた『飯塚事件』は、全く終っていない。『飯塚事件』を起こした税務官僚の職権濫用は根絶されるどころか、ますます陰湿巧妙になっているからである」と語っておられるのは、まさに、「飯塚事件」の本質を突いたものだと思います。
映画や小説の『不撓不屈』の中では、中小零細企業家や納税者の立場に立って、個人的な利害関係を捨ててひたすら献身的に活動する不屈の闘士のように描き出されていますが、実は、第一印象で、「大衆蔑視と自己過信」の権化であることを見破られてしまうような人柄であったことがうかがえます。
(※映画『不撓不屈』と飯塚税理士の実像

もしかすると原作者は、確定申告でがっぽり税金を納めさせられて国税局を憎んでいたかもしれない。
もう一つは想田和弘監督のドキュメンタリー映画『選挙』。

投票日まで本当に候補者に密着して撮影しているから、候補者の心情、支援者の心情、選挙のノウハウ…などと、選挙ってこうなんだ、と臨場感をもって学ぶことができた。
ただこんなもの、プロ市民ならいざしらず、二時間も見続けていると飽きてしまう。
飽きるけれど画面が観やすいし、何より素人の生の音声を使っているのだろう、にも関わらず、何を言っているのか聞き取れる。世の中の人の滑舌の良さに驚いた。
だからこの映画は音声だけでも十分楽しめるので、声だけ聴きながら、手元で編み物にも没頭できる。そして案外その方が内容が身に入ってくる。
長いものに巻かれろとはよく言うが。
「国政に参加」などと、マジメに投票に行ったところで、私は国政に参加できた気分になったことは、一度も無い。放っておいても勝てるような強い勢力に、わざわざ加わって投票する必要は無いし、弱い勢力には加わっても勝つことはないし。
しかし考えを切り替えて、誰が、何が強いのか、何が長いものかを見極めて、をそいつをひたすらホメ殺して媚びて気分良くさせて渡世するのも、私の中では新しい生き方かもしれないと、この度二つの映画を観ながらふと思った。
 

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